Tomohito Morita / BEYOND SKIN

Dec 5 — 28, 2025

Presented by LOWW 近日開催
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この度、LOWWでは2回目となる森田智仁による個展「BEYOND SKIN」を開催します。

ダンサーという経歴を持つ森田が身体性と物質性をメディアとして捉えながら提示した前回の展覧会から、我々が逃れようとも逃れられない「原初的な制度」システムとしての身体的な皮膚に着目します。

森田は「自身の外側に“もうひとつの身体”を育ててしまうような、不可視のプロセス」としてこのインスタレーションを提示します。

身体的/社会的制度として盲目的に過ぎ去っていく「空間」について、改めて試行する展覧会、ぜひご覧くださいませ。

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皮膚は、最も原初的な制度である。

それは物質的な膜として存在するが、同時に、社会的倫理・記憶・常識といった無形の構造をも身体に刻み込む。私たちは皮膚を通じて世界に触れ、皮膚によって世界から隔てられる。

この矛盾そのものが、知覚の起点である。

重力は、皮膚の延長として作用する。

それは単なる物理的引力ではなく、思考と行為さえも秩序へと収束させる社会的構造である。

人間はその内部で均衡を学び、戯れ、逸脱する術を探る。

その逸脱こそが、制度に抗う最小の運動であり、知覚を生成する契機となる。

「BEYOND SKIN」は、皮膚という制度を再配線し、自己を拡張(extension)していく、いわば脱皮の実験である。

それは、自身の外側に“もうひとつの身体”を育ててしまうような、不可視のプロセスでもある。

物質的な表層と社会的な表層のあいだに生じる緊張の場で、身体は観察者でも被観察者でもなく、「条件存在」という、どこにも属しきれない半径ゼロの立場として現れる。

ここでの感覚は、主体の内側から自動的に生まれるのではない。

重力、抵抗、接触といった外的条件の配置によって、身体そのものが知覚装置として構成される。

皮膚の内と外の境界は次第に崩壊し、網膜的な「見る」という制度は、「歪みほどける」という行為へと転換する。

皮膚の下には、制度化された身体が存在する。

しかしその身体がわずかに揺らぎ、表層に裂け目が生じるとき、知覚は固定的な構造から逸脱し、新たな空間の秩序を立ち上げる。

そのとき身体はもはや自己の内側に閉じた存在ではなく、“私のかたちをやめつつある私(unshaping self)”が、ひっそりと漏れ出していく異常な瞬間でもある。

その微かな立ち上がりこそが、BEYOND SKIN の入口である。

入口は同時に、皮膚という制度の外側へ通じる“罅(ひび)の出口”でもあり、そこから世界が静かにこちらへ流入してくる。

ARTISTS

  • Tomohito Morita

VENUE

NOTES

オープン: 12時 - 20時 / 休廊: 火曜日、水曜日、木曜日

ORGANIZERS