BETWEEN: Landscape and You
Mar 1 — Apr 26, 2025
株式会社Tokyo International Gallery(品川・天王洲)では、真⽥ 将太朗による個展「BETWEEN: Landscape and You」を開催いたします。
真⽥が描く「新しい⾵景」は、窓のように作品と鑑賞者の間に空間を創出し、鑑賞者を包み込むように上へ上へと伸びていく作品は、⾒る者との対話を⽣み出します。真⽥がこれまで制作してきたパブリックアートの多くは、その地で⼈々を繋いでいく絵画の⼒により変容しながらもそこにあり続ける⾵景として展⽰されています。本展覧会では、⼤作のほかに⼤型⽴体インスタレーション作品の展⽰を⾏い、「新しい⾵景」に没⼊できる空間を作り出します。
[ Artist Statement ]
「作品をつくる」という⾏為を⾃覚して絵を描いた最初期のモチベーションは、「現代を映し出す新しい⾵景を描き、多くの⼈に⾒てもらいたい」というものだった。現代は混沌とした情報社会で、⼈々は忙しさに追われている。そんな⽣活には、⽴ち⽌まって景⾊を眺めたり、⼼を落ち着ける時間が必要だ。そして、⽬に⾒えない恐怖から物理的・精神的な壁を簡単に作ってしまう時代に、私の描く⾵景を通して他者と繋がる体験を共有してほしいという、少しの傲慢さもあった。とにかく、現代のための「新しい⾵景」を作る必要を感じていたのである。
「新しい⾵景」を描くためには、⾵景が形づくられる⻑い時間や、⾵景を⾒つめる私たちの⾝体が無意識に感じている重⼒などを感覚的に表現することが重要だと考えた。そこで役に⽴ったのは、「⾵景は縦に伸びる」という感覚である。樹⽊は上に向かって真っ直ぐ伸び、根は地下に広がって⾃然の景⾊を完成させる。地層や海は深く世界を⽀え、空や宇宙もまた驚くほどの⾼さで私たちの⼩ささを強調する。建築物も基礎から⾼層まで縦へと積み上げられ、都市の景観を構成する。こうした要素を画⾯に対して垂直の統⼀的な筆致で描き、時間の流れをグラデーションや残像のように表現しながら、⼀枚の平⾯に収めていく。実際の⾵景から⾊彩を抽出し、画⾯に再構築することで、部分と全体、中⼼と周縁の違いを打ち消しながら、層を重ねていく。これが今の私にとって最も適した「新しい⾵景」の描き⽅だと結論づけた。こうして完成する「Landscape」と名の付く作品群は、実際の⾵景から要素を抽象化し、新しい⾵景として再構築した⼤きな絵画のシリーズである。筆致や⾊彩の選択、構図の綿密な計画をもとに、それを現実に描き起こすことを⽬指している。そして、制作中に⽣まれる即興的な筆の動きや予期せぬ変化を受け⼊れながら、さらに進化する⾵景を描き続ける創造的なプロジェクトである。歴史に根ざしつつ、⽇々変化する情報社会に呼応して⽣み出される絵画は、継承と変化という⼆つの要素を巧みに含んだ「新しい⾵景」として、私たちを⾒つめてくるだろう。
絵を描くのは⽣きている⼈間である。そのため、作者の意識に関わらず、作品には作者が⽣きる時代の断⾯が映し出される。写真が登場したことで、絵画の記録としての役割は薄れたと⾔われるが、それでも絵画が持つ時代性が作品の理解にどう影響するのか、改めて考える必要がある。
何も描かれていないキャンバスに絵の具が加えられるたび、絵画は不均質な要素に満たされていく。この不均質さは不安定であり、要素同⼠の関係が⼀瞬で変わる可能性を秘めている。完成に向かう動的な過程を静かに映し出すのが絵画であるなら、作品内部で完結するものとして、絵画の記録媒体としての意義は今も失われていない。そうして完成した絵画はその場にいる⼈々を取り込み、現実に影響を与える⼒として⽬の前に現れる。私の絵画は、壁であると同時に窓である。空間を隔てているかと思えば、すぐに現実と虚構を繋ぎ、私たちとの関係を作り出そうとする。それはまるで絵画が私たちを⾒ているかのような感覚である。同じ絵を等しく⾒ながら、その絵に等しく⾒つめられる時間をあらゆる鑑賞者が共有し、そこに⾃⼰と世界を振り返る豊かな感覚が⽣まれるような、「新しい⾵景」を拓きたい。
EXHIBITED ARTWORKS
ARTISTS
VENUE
- URL
- https://tokyointernationalgallery.co.jp/ja/
- 住所
- 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 2F
- 開館時間
- 12:00 — 18:00
- 休館日
- Sun・Mon
- 入館料
- 無料
- 備考
- ※2024年7月1日より一時的にギャラリースペースを3階へ移転いたしております。 ※2025年3月1日より、営業日が変更となります。