朝⻑弘人展「望遠」

May 28, 2024 — Exhibition: Solo
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KOSAKU KANECHIKA では、2024 年 6 月 1 日から 6 月 29 日まで、朝⻑弘人展「望遠」を開催いたします。

朝⻑は、眼前のものがふと違って見える瞬間を捉え、それを絵画に起こそうとしています。作家の眼の中で起こる変化は、徐々に絵画における絵具の質へと変換され、画面に固定されます。描かれた絵画は固定されつつも再び動く予感を含んでおり、それは眼前の世界に対し作家自身が抱く寄る辺なさのあらわれでもあります。

朝⻑の絵画は、絵肌に特徴があります。物理的な厚みはありませんが、筆で叩き上げたり、絵具を練り込んだり重ねたり、あるいは拭ったりすることで、深みのある絵肌が生まれています。画面の上で脈を打ち、呼吸しているような生々しさがあり、どこか消滅に向かうような印象も受けますが、決してささやかではありません。作品を実際に観ることで、画面で観る以上にその強さを感じるでしょう。

また、朝⻑は生活圏を遊歩するなかで目に残った景色や言葉を手帳に書き留め、反芻しています。その行為が絵画の制作に至った時、朝⻑のイメージや思考は、上述の技法により、像を結ぶことのない、漂い、振動するものとして描かれます。

朝⻑の作品がもつ定まらなさは、言語や世界のロジックを超え、また窮屈さを感じながらも私たちが安住している場所を揺り動かすようです。

本展に際し、朝⻑は以下のステートメントを寄せています。

新しく眼鏡を作りに行った折、視力検査の一環で眼圧を測った。眼球に空気をポンと当て、へこみや戻りの早さからその硬さと弾力を見る。
輪郭に空気がぶつかってはじめて、自分に眼球があることを知覚した。
そこには外とのやり取りがあって、圧力やストレスに対して内、自分の側から圧(お)し返している。
なにかを見る時にはそれ自体のイメージではなく圧力をキャッチしていて、知らないものに目を凝らしている時その圧(お)しあいはより強くなっているように思う。
ところで、最近はスタジオ近くの海を見に行くことがある。
漁火もないまっ暗な夜には砂と水と空との境界も判らず、轟音だけが動きを主張していた。水平線があるであろう辺りをにらんでいると、飛蚊症のモヤモヤした 斑(まだら)のように波を幻視した。圧力のある大きな面とやわらかい 斑(まだら)が混ざって見える。
すぐには見えない遠くの景色は、かえって強く眼を圧(お)してきた。

「望遠」と題された本展では、朝⻑の新作ペインティングを約 10 点展示します。この機会にぜひご覧ください。

EXHIBITED ARTWORKS

EXHIBITION

朝⻑弘人展「望遠」

Jun 1 — 29, 2024

Presented by KOSAKU KANECHIKA 開催終了

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