ヤーロウ・スラップス日本初個展 「Breaking News」
Oct 9 — Nov 14, 2026
Sho+1では、2026年10月9日(金)から11月14日(土)まで、米国サンフランシスコを拠点に活動するヤーロウ・スラップスの日本における初個展 「Breaking News」を開催いたします。 本展の開催にあわせ、アーティスト本人がサンフランシスコより来日いたします。 会期前日10月8日木曜日18:00より、メインの絵画作品にとどまらず、映像や音楽を織り交ぜたオープニングレセプションを開催する予定です。 皆様のご来廊を、心よりお待ち申し上げます。 ◾️アーティスト・ステートメント 東京での個展が決まったとき、私は何について語り、なぜそれを表現するのかを長い時間をかけて考えました。日本文化に寄り添いながら、海外の観客にも親しみやすいかたちで自分のスタイルを融合させるべきなのか、とも考えました。しかし、そうした思考をひとつずつ削ぎ落としていった末に残ったのは、その瞬間に自分がインスピレーションを感じたものを、ありのままに表現することが最も大切だという答えでした。知識や思想とは、誰かに合わせて仕立てるもの(catering)ではなく、共有されるもの(shared)だと考えているからです。 そこで本展では、世界中のどこにでも存在する「ニュース(THE NEWS)」をテーマの中心に据えました。どの国、州、都市にもニュースがあり「ニュース」という概念そのものが、地域や文化を越えて多くの人に共有されています。ニュースを見ているとき、私が以前から惹かれてきたもののひとつが、画面下部を流れるテロップ、いわゆるニュースバーです。キャスターの姿を見て、その声を聞きながら、同時に画面の下ではまったく別の出来事が文字として流れていく。複数の情報が同時進行する、あの独特の感覚に興味を持ってきました。 本展の作品群では、私が日々目にする社会のあり方や政治、さまざまな問題、そしてそこから生まれるアイデアを扱っています。イランで起きている凄惨な戦争を題材にした鮮烈な作品がある一方で、日々のストレスに対処するためにアイス抹茶を飲み、サウンドバスに浸り、ヨガに励むミレニアル世代を描いたものまで様々です。 また、日本を訪れるなかで「どこへ行っても、その土地ならではの名物や名所がある」という文化にも強く惹かれました。そこから、故郷サンフランシスコの各地域で、もし隣家とのフェンスを取り払ったらどうなるだろう、と想像しました。個々の裏庭がつながって大きな農園となり、それぞれの地域が独自の「名物」を生み出すことで、地域経済を活性化できるのではないか。作品の中には、そんな半ば空想的なアイデアも登場します。 別の作品では、アラスカの広大な凍土を訪れることのできる富裕層に向けて「プレミアム」な氷河の保冷パックを売るイヌイットの氷売りを描きました。旅行者はそれを持ち帰り、本物の氷河の氷をグラスに浮かべて客に振る舞い、自慢するためだけに買われる氷です。きっと美味しいのだろう、と想像しながら描きました。しかし、このユーモラスな設定の背景には、地球温暖化への風刺があります。同時に、豊かな自然資源を守り続けてきた先住民コミュニティが搾取され、自らの資源を自らコントロールすることのできない現実に対する批判でもあります。 そして最後の作品では、それまでの作品に散りばめられていたテーマを再びひとつに凝縮するように、息苦しいほど高密度な「網目状の都市」を描きました。私は風刺や皮肉(irony)を表現することも重要だと考えています。しかし、ある友人に教えられたように、最も大切なのは、最終的に「自分の愛」を表現することなのだと感じています。人生の今の局面で、私はたまたま少し批判的な視点を持っているに過ぎません。アートとは、私たちが考えていることを、胸を張ってオープンに語ることを許してくれる存在です。 本展では、こうした個々の作品をつなぐ共通の糸として、それぞれにカスタムデザインされた、どこか皮肉を帯びた「ニュース速報バー」を添えています。この展示を通して、そこに込められたユーモア、痛み、批判、そして独自の視点を楽しんでいただければ幸いです。そして最終的には、私たち全員が共有しているこの「マトリックス=社会システム」のなかで、自分自身がどのような役割を果たしているのか、そしてなぜ私たちは今のような行動をとっているのか―そうした「より大きな全体像」に思いを巡らせ、自分たちの役割や新たな解決策について考えるきっかけになればと願っています。 サンフランシスコより、愛と平和を込めて。 ヤーロウ・スラップス ◾️アーティスト・プロフィール ヤーロウ・スラップス アメリカ・サンフランシスコ生まれ、同地を拠点に活動するアーティスト/キュレーター。 ベイエリア特有の多文化主義やスラップスの作品は、現代のポピュラーカルチャー、美術史の文脈、そして人種・階級・社会情勢に対する独自の批判的洞察が交差する点に位置しています。 サンフランシスコの鮮烈なDIYカルチャーと多様なグラフィック表現の中で育った彼の絵画スタイルは、あえて緻密さを抑えた直感的で素朴な筆致(「キッチンテーブル」美学)と、アクリル、エアブラシ、オイルスティックなどを組み合わせた豊かなテクスチャーを融合させています。 彼の描く作品群には、歴史的人物や時代の象徴、日常生活の一コマ、そして風刺の効いたテキストやグラフィック要素(ニュースのテロップや速報バーなど)が巧みに組み込まれています。重厚で批評的なテーマを扱いながらも、作品全体には特有のユーモアと温かみ、そして社会やコミュニティに対する深い「愛」が根底に流れており、観客に押し付けがましさを感じさせることなく、私たちを取り巻く「今」の社会構造について自発的な思考を促す点が彼の作風の真骨頂です。 アーティストとしての活動にとどまらず、DIYスペースやギャラリー(Swim Gallery)のキュレーションを主導し、既存のアートシーンで見落とされがちなアーティストやコミュニティと深く関わり続けています。また、70名以上のアーティストや料理人を巻き込んだ『Ramen Forever』をはじめとする自主制作プロジェクトや、映画制作など、領域を越えたマルチメディアな表現活動を行っています。 これまでにロサンゼルスのNew Image Artやデ・ヤング美術館(レジデンス)、Guerrero Galleryなどで個展・グループ展を開催。 2025年ユーレカ・フェローシップ(Eureka Fellow)受賞。 ◾️展覧会概要 ヤーロウ・スラップス日本初個展 「Breaking News」 会 期|2026年10月9日(金) - 11月14日(土) 時 間|12:00 - 18:00 休廊日| 日・月・祝 会 場|Sho+1 東京都台東区上野1-4-8 上野横山ビル1F オープニングレセプション 10月8日(木) 18:00 - 20:00 アーティスト在廊予定 お誘いあわせの上、お気軽にお越しください。
