ADFアートギャラリープロジェクトVol.31 上村江里「Picking up My Bones」展

Jan 24 — Feb 7, 2025

Presented by ADF Art Gallery Project 開催中
SHARE

ADF(NPO青山デザインフォーラム)は、ADF Art Gallery Projectの31回目として、野生、身体、時空をモチーフにその境界線上で揺れ動く感情や衝動を提示するアーティスト上村江里の個展「Picking up My Bones」を2025年1月24日(金)から2月7日(金)まで開催いたします。

上村の「Picking up My Bones」の連作は2016年から続くシリーズであり、“生物”として備えている身体という生々しい実体から生じる根源的な野生性や欲求を巧みに描き出す作品を制作しています。朽ちた後のバラバラなパーツの中から必要な物を選ぶ人物の様子は、生身で存在している肉体の脆さと次の世界へ向かう準備を同時にみる事が出来ます。生物として生まれながらに存在している"野生"と、人間としてあるべき姿を示しながらも時代や文化によって変化する"教育"の葛藤は時に無意識や超現実といった非現実の世界を希求する衝動へと駆り立てます。上村は、幻想的な風景の中に衝動が剥き出しになる独創的な物語世界を展開します。

幼くあどけない少女と骸骨の対比は中世ヨーロッパの警句である"メメント・モリ(死を想え)"や"カルペ・ディエム(今を生きろ、その日を摘め)"を彷彿とさせます。美術史は生と死を可視化する試みを絶えず繰り返してきましたが、この試みは現代にも通用する取り組みであり、作家独自の終末観とともに移ろいゆく集団心理を捉え表現しています。

科学や医療の発展とともに現代社会が忌み嫌い公共の場から排除した死を鮮やかに浮き立たせることで、強烈に生命の光を認識させてくれます。自分で自分の骨を拾うというこの矛盾こそ、現代に生きる私たちは今一度考えてみるべきなのかもしれません。カラフルに描かれる少女と骸骨の対比が独特な美的質感となって生命の儚さと、そして人間存在の本質を垣間見せてくれます。

上村江里 / ERI UEMURA プロフィール
1986年 広島県生まれ
2010年 尾道市立大学芸術文化学部油画卒業
2010〜11年 渡英ロンドン滞在
2014年 東京藝術大学大学院修士課程美術研究科油画修了

VENUE

RELATED ARTICLES