AUN ーL字の金髪と発掘された人ー

Jun 11 — Jul 23, 2022

Presented by Tokyo International Gallery 開催終了
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Tokyo International Galleryでは、6月11日より「AUN」が始動します。「AUN」はプレイヤーのフラットな連携を通して、「展覧会」を再考する継続型プロジェクトです。
 現代、展覧会は様々なプレイヤーによって生み出されています。アーティスト、ギャラリスト、クリティック、アーキビスト、デザイナー、キュレーター、コレクター、リサーチャー、そしてオーディエンス、ここでは書き切ることはできません。そして各々のプレイヤーがこの繋がりに意識的であろうとなかろうと、彼/彼女たちの役割によって、展覧会は存在しています。「AUN」はこれらのプレイヤーの繋がりを自覚することで始まります。
 また「AUN」はTokyo International Gallery(TIG)という「場」に始まります。TIGは言わずもがなギャラリーであり、定期的に展覧会が開催され、作家から作品が旅立つ中継点としての機能を備えています。また本来「ギャラリー」という言葉は、建築外部の回廊を指し示し、人が往来、循環する外に開かれた場というニュアンスが存在します。
 「AUN」は始動とともに開かれた回廊を提示し、プレイヤーの繋がりを生みだしたのちに閉幕します。そしてその繋がりから、また新たに「AUN」が始まるのです。

ーL字の金髪と発掘された人―
 本展覧会は”人間のイメージ”をもとに制作する画家と彫刻家の二人展です。
 水戸部七絵はキャンバスという支持体に大量の絵具という物質を用いて絵画を構成しています。今回展示されるのは「TIME」誌をオマージュしたシリーズです。表紙を飾る世界的著名人たちを再現しており、そこにはトランプやプーチンなどの政治家や、スポーツ選手、歌手など様々なメディアで活躍し、世間を賑わしている人々——私たちがもうすでにイメージを持ちえている人物を、水戸部は絵画として再構成しています。
 根本祐杜は今回高さ3メートルにもなる巨大な人体像を展示します。「発掘された人」というタイトルの人物像は、根本の家にある庭の土を掘り、掘った跡を型取りして粘土によって成形、そのまま垂直に立たせた作品です。モチーフとなるのは水戸部とは対照的に著名人ではなく、いわば「誰でもない人」です。根本はそのような根源的な人間のイメージから作品を制作しています。

 分厚く塗りたくられた「TIME」の表紙は、描かれる有名人について私たちが持っていたイメージを破壊し、新たなイメージを再構築します。一方、直立する、巨大な「誰でもない人」は、言い換えれば「誰にでもなりうる人」であり、人間以前、あるいは人間以後の人間性のイメージを引き受ける存在です。
 二人の作品を併せて鑑賞することで、ある人物像が立ち上がりイメージが反復していきます。それは単純な個人でもなく、普遍的人類という概念でもありません。異なる制作手法を持つ二人の作家による「人間のイメージ」——L字のような形の特徴的な金髪をたくわえた人間一人でもなく、庭で発掘された粘土作りの巨大な人間一人でもなく、それは現代に生きる私たちの肖像であるのかもしれません。

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