KOSAKU KANECHIKAでは、2024年7⽉6⽇から8⽉10⽇まで、武⽥陽介展「Singinʼ in the Rain」を開催いたします。
武⽥陽介は、写真というメディウムの可能性を追求し続けています。代表作である「Digital Flare」シリーズは、デジタルカメラを強い光に向けた際に⽣じるフレアという現象を捉えています。その光とは、カメラのシステムがとらえた純粋な被写体ではなく、その被写体とシステムの関係性から⽣じ、カメラフレームの内部に溢れた光であり、それを作品化することを武⽥は「⼿段の形跡、存在の刻印」と表現します。つまり写真において、被写体はカメラシステムの外部にあり、客観化され、カメラはそれを写しとる、という前提を相対化しています。「⼿段(カメラ)と⽬的(被写体)の錯綜した関係性」をこそ被写体とする彼のコンセプトは、写真の歴史においてこれまでに⾏われてきた様々な実験に連なるものであるだけではなく、美しく、強度があり凝縮された作品を⽣み出しています。
写真評論家の清⽔穣は、武⽥の制作について以下のように述べています。
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写真の条件や機構の写真だからといって、それはたんにコンセプチュアルな写真でもない。彼はひたすら歩いてロケーションを探し、時間を限定して最適な光の条件を探すからである。写真が写真であることをさらけ出す武⽥の写真は、完全に、地理条件や天候など現実世界の条件に依存し、根気の要る⾝体労働の果実であり、数百枚の類似写真・没写真を通過し、徹底的に⾒つめられた上で、1点1点厳選された写真である。その点で、まるで黎明期の写真のように原始的なのだ。違うのは、⾒つめるときに写真史が念頭にあることくらいだろう。寡黙な武⽥作品に、⼤判プリントに耐える密度と、⻑期間にわたる持続⼒があるのはそのためである。
清⽔穣「Stay gold, stay digital」
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KOSAKU KANECHIKAでの初めての個展となる本展で、武⽥は新シリーズ「Singinʼ in the Rain」を発表いたします。今シリーズでは結露した⽔滴をモチーフとしています。起点とする1作品のほかは、様々な条件(カメラの機種、レンズの種類、露光時間、カメラの動かし⽅など)を次々と変化させながら、延々と撮影を繰り返して現像されたものです。その膨⼤なイメージの中からセレクトされた新作群には、驚くほど多様で豊かな濃淡と⾊彩を持った光とテクスチャーが定着しています。
本展では新作約15点を展⽰します。この機会にぜひご⾼覧ください。
武田陽介(たけだ ようすけ)
1982年愛知県⽣まれ。2005年に同志社⼤学⽂学部哲学科を卒業。現在は東京を拠点に制作しています。
主な個展に「キャンセル」(3331 GALLERY、2012)、「Stay Gold」(タカ・イシイギャラリー、2014)、「Stay Gold: Digital Flare」(空蓮房、2014)、「Ash without fire here」(タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム、2019)、主なグループ展に「SHOWCASE #1 curated by minoru shimizu」(eN arts、2012)、「FOUR FROM JAPAN: CONTEMPORARY PHOTOGRAPHY」(Condé Nast Gallery、2015)、「The Sun Placed in the Abyss」(コロンバス美術館、2016)、「Japanese Photography from Postwar to Now」(サンフランシスコ近代美術館、2016)があります。作品はカディスト美術財団、サンフランシスコ近代美術館、スペイン銀⾏などにパブリックコレクションとして収蔵されています。
EXHIBITED ARTWORKS
EXHIBITION
ARTISTS
VENUE
- URL
- https://kosakukanechika.com/
- 住所
- 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F
- Tel
- 03-6712-3346
- 開館時間
- 11:00 — 18:00
- 休館日
- Sun・Mon・Holiday
- 入館料
- 無料