Taro Komiya Solo Exhibition 'Virtual'

Jan 1, 2024 — Exhibition: Solo
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MAHO KUBOTA GALLERY では1月26日より小宮太郎の弊ギャラリーでは初めてとなる個展「Virtual」を開催いたします。

小宮太郎は滋賀と京都の県境にある共同スタジオ「山中suplex」を拠点に活動し、これまでに国内外でインスタレーション、立体、ペインティングなどの作品を発表してきました。本展では、4点のインスタレーションを中心に小作品も併せて展示いたします。

展覧会タイトルになっている「Virtual」は、私たちにはカタカナのバーチャルとして馴染み深いでしょう。バーチャルアシスタント、VR、Vチューバーなどの言葉が指すように、物理的には存在しないものがまるで実在するかのように見せかける「仮想」「虚像」という意味で広く認識されています。一方で、英語にはそれとは反対の「実際の」「事実上の」という意味もあり、「(実際には異なるが )ほとんどそのものと変わりなく、ほぼ同一なので、事実上その機能を果たしている」というようなニュアンスが含まれます。

展示される4点のインスタレーション作品の一つに、小宮の代表作のドアの作品があります。これは実際にはドアが存在しない空間に、何色ものマスキングテープを重ねて貼り合わせ二次元の陰影を作ることで、一瞥するとあたかもそこにドアが存在しているように見えるトロンプ・ルイユ(騙し絵)を作り上げる作品です。
また、小宮がこれまでも繰り返し制作してきている「回転 / あるいは振動するオブジェクト」のシリーズから植物を使った立体を展示します。本シリーズは高速で回転、あるいは振動する物体のその動きが、実際には目で捉えることが難しいという認知のバグをテーマに制作される作品群です。
展示空間の中央には、こうした見る行為と認知の関係性への探究の原点とも言えるハーフミラーのインスタレーションが展示されます。半透明のミラーの立体の中には実際に何もない空の空間が存在し、その向こうには鏡に映った空間が延々と続いているように見えます。実際に存在する空間と虚像を同時に眺めるインスタレーションとなります。

小宮はこれらの作品を通して見ることの本質に焦点をあててきました。人が何かを見る時には、実際に視界に入ってくるものから興味のない情報を削除したり、または本来は存在しない情報を足すといったことが無自覚に行われています。ドアの作品を例にとってみれば、作品を鑑賞するためのギャラリーという場所ではドアや窓の位置には意識が向かず、ある日いきなりドアが現れてもそれは元々あった物だと認識されるでしょう。そして実際には壁にマスキングテープが貼られているだけですが、人はそれをドアと認識して、ドアの向こうに別の空間の気配を感じることができます。こうした時にドアはバーチャル(虚像)としての表面的なイメージを越えてVirtual(事実上の)なドアとして存在しているのではないでしょうか。小宮の作品はインスタレーションや立体という目に見えるものだけでなく、見る人の想像力に働きかけ、私たち個々人の意識内にイメージを浮かび上がらせることで成立しているとも言えます。本展は人の意識の中で立ち上がるバーチャル(虚像)なイメージに緩やかに重なるVirtual(事実上)の世界の位相を浮かび上がらせます。

小宮太郎
1985年神奈川県川崎市生まれ。現在は滋賀県大津市在住。2016年京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(博士)修了。人間の”みること”の能動性をテーマに作品制作を行う。主な展覧会に、2023年「The door to Musica」(Noise Agency・テルアビブ、イスラエル)「VOCA2023」 (上野の森美術館・東京) 、2022年「basement #01 五劫のすりきれ 」 (京都文化博物館・京都) 2021年「Soft Territory かかわりのあわい」 (滋賀県立近代美術館・滋賀) などがある。

EXHIBITION

小宮太郎 個展「Virtual」

Jan 26 — Feb 24, 2024

Presented by MAHO KUBOTA GALLERY Past

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