内田涼 個展「ウィンド・ウィンドウ」2024.4.26 - 2024.6.1

May 15, 2024 — Exhibition: Solo
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Otherwise Galleryより、内田涼個展「ウィンド・ウィンドウ」の開催をご案内申し上げます。

内田の作品は、コントロールせずにできた絵具のたれや滲みなどを出発点として、そこから広がるイメージを捉えながら描かれます。その出発点が何か特定のものに見えないように、意識的に無作為なイメージに留めることから始まる制作過程が特徴です。武蔵野美術大学を卒業後、長く都内を拠点に活動していた内田は、アーティストインレジデンスでの経験から長野の自然豊かな環境へと活動拠点を移しました。新しい土地への移住は、自身の制作過程同様、その後の予想できない展開のきっかけとなりました。窓の多い制作環境、空の広がり、山のある風景など都内では感じることができなかった視覚的な要因も影響し、本展のテーマである窓と風にまつわるシリーズが生まれました。この機会にぜひご高覧ください。

個展「ウィンド・ウィンドウ」に寄せて

大きな窓のある家に引っ越した。フレームの向こうには空を上下に切り裂くような山並みが連なっている。毎日違う色の雲がゆっくりと流れる。夜、部屋の明かりをつけていると羽虫たちが集まってくる。少しずつ違う形の翅やからだが眼の前にたくさん並ぶ。あまりに赤裸々でじっと見るのは難しい。昨日の銭湯の様々な身体を思い出す。

そういえば風景を見るのも難しい。捉えたかと思うとすぐに遠退いて、気づけば何かの背景になっている。雨の日はガラスについた水滴どうしがぶつかって世界が一つに統合されるのを見届ける。水滴に映る歪んだ風景を見るのはなによりも簡単なことのように思える。容器もフレームも無い状態で何かを見たことなんて一度もないのかもしれない。

“wind window ”とはカイトサーフィンにおける帆揚げが可能な空中領域のことであるらしい。風を真背面から受けたカイトサーファーを中心点として半球状に広がっている。風向きはその都度変わるのでwind windowもそれに合わせて移動する。この領域を上手く把握し適切な位置で帆を張れば風の力で前に進めるということだ。カイトサーフィンの経験は一度も無いけれど、検索窓に気まぐれに打ち込んだwind windowという単語の連なりが遠い国のとある界隈ではどうやらちゃんと意味を持っている。この愛おしいささやかな出会いは最近の日々の制作を大いに後押ししてくれた。

EXHIBITED ARTWORKS

EXHIBITION

内田涼 個展「ウィンド・ウィンドウ」

Apr 26 — Jun 1, 2024

Presented by Otherwise Gallery Past

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