“remake the world”
Apr 26 — Jun 8, 2025
この度、まえばしガレリア ギャラリー2ではArt Office Shiobaraとrin art association による合同企画展“remake the world”を開催いたします。
バブルの崩壊以降徐々に「地方再生」という言葉が各地で用いられ、都市再生にちな んだ取り組みがそれぞれの街で行われています。
ここ前橋市においては市内出身のコピーライターの糸井重里氏が手がけた『めぶく』 をコンセプトに文化振興を基軸とした再生プロジェクトを2016年に開始以降、少しず つ全国に浸透してきています。
取り組みの規模は他の都市と比較しても極めて大きく、現在でも次々と新しい文化施 設が前橋中心街にオープンしています。
2020年に開業した白井屋ホテルは世界ベストホテル39に選出され、藤本壮介氏の建築による趣向の異なる2つのタワーが来訪者を出迎えます。客室やパプリックスペースには多くの国内外の著名アーティストの作品が常設展示され、芸術や食に日 常的に触れることができます。
2023年には2つのギャラリースペース、フレンチレストラン、居住スペースからなる平田晃久氏による複合型ギャラリーコンプレックス まえばしガレリアが竣工し、開業時には大きな注目を集めました。
2023年秋には運営体制の変更に伴い長期休館を余儀なくされたアーツ前橋も再開し、開館節目の10周年を記念した「ニューホライズン歴史から未来へ」を開催し、県外からも多くのお客様がお越しになり、前橋にも芸術文化の火が灯り始めたと、多くの方が予感しました。
「remaketheworld」は「前に進むことの重要性」に加えて「過去と現在を再考する意義」への問いかけと、これからの街のあり方の共有を目的として、ArtOfficeShiobaraの塩原将志とrinartassociationの原田崇人の2名により企画されました。
新宿歌舞伎町の再開発にともない取り壊わされたビルを作品化したチン↑ポムフロムスマッパ!グループの代表作《ビル・バーガー》がモニュメンタルに8mの吹き抜けスペースに出現し、都市再生のあり方を考察させます。
やんツーの絵画は自身により開発したドローイングマシンを用いて、メディアアートの分野からメディアアートの概念の根幹であるテクノロジーの進歩や資本主義のあり方に揺さぶりをかけます。
グラフティーアーティストであるNazeの作品に込められた彼の言葉「WASURETAKOTOWOWASURENAIDE」は鑑賞者を自問による永遠の思想世界に導きます。
ぼく脳はSNSの界のマルジェラと呼ばれ、ファッション、アートなどの様々なジャンルの境界を横断しなが大喜利のように鑑賞者の思考を有効にズラしていきます。
オスカー・ムリーリョの《SQ317(68,500f)》は帰国の為の経由地シンガポールでの自身の体験がもとになっており、母国コロンビアと訪れた国や都市が持つ共通の歴史や問題が描かれ、異なる時と場所で制作されたキャンバスのコラージュから成る大型の絵画は現代においての本質的な多様性のあり方を示唆してます。
ジャンリュック・モーマンの絵画はピップポップやコミックブックなどのユースカルチャーの影響を全て吸収し、対象の構図の中に視覚的なウイルスが無限に自己増殖するかのようなイメージを反復させます。
マーク・ティッチナーは街にありふれた企業広告や労働組合の旗、プログレや政治的プロパガンダなどのフレーズを引用し折衷化することで、一見理想主義を掲げたかのような強いメッセージの本質を問いかけます。
異なる国籍をもつ二人で結成されたアッシューム・ヴィヴィット・アストロ・フォーカスは視覚的なメディアと音楽をパフォーマティブに融合させ、生命への欲望と言論や市民権の制限、アイデンティティの厳格な分類「共有/拡散/吸収/汚染/侵害/堕落の自由」、に対する挑戦的な表現を続けています。
今展では国内外の様々な文脈で活躍する作家が都市再生の理想的なあり方を鑑賞者に考察させます。
都市の再生とは死に直面した街に酸素吸入して生還させること。寝たきり状態から起き上がらせること。人が歩いている街、人が集える場所がある街を地域に関わる全員で作り直していくことを意味します。
はたして現在の前橋はこのような昨今までの取り組みが成果を上げているといえるのでしょうか。
一度灯して燃え上がった火はもしかしたら風前の灯火になっているのかもしれません。
今展が地域に関わる多くの方に理想的な街づくりのあり方を再考する場として機能することがでしましたら幸いです。
衰退をはじめた街は癌細胞のように静かに進行し、気がついた時には手遅れになってしまうのかもしれません。
Let’sremaketheworld!
VENUE
- 住所
- 〒371-0022 群馬県前橋市千代田町五丁目9-1
- 開館時間
- 11:00 — 19:00
- 休館日
- Mon・Tue
- 入館料
- 無料
NOTES
主催:アートオフィスシオバラ、rin art association
協力:タグチアートコレクション