BIO
カズ・オオシロは1967年沖縄県生まれ。カリフォルニア州立大学で1998年と2002年にそれぞれ文学士と美術学修士を取得し、現在ロサンゼルスを拠点に活動しています。オオシロは、ポップアートやミニマリズム、抽象的表現主義などを参照しながら、それらの思想を独自に展開し、立体と平面、抽象と具象、リアリティとイリュージョンなど、さまざまな二項対立の上に立って作品の本質を探っています。
オオシロの代表作であるごみ箱、キャビネット、スーツケース、アンプなどはあまりにも忠実に再現されており、一見作品と意識されません。しかし、それらがキャンバス上に描かれたものだと知ることで物の見方は逆転します。観る者は、木枠に張られたキャンバスが芸術作品の証明であるがごとく感じられるかもしれません。また作品のリアリティを強調する古びた質感や色、シミ、傷などは、古典的なだまし絵のテクニックに思えますが、そこに焦点をあてると、まるでポロックやデ・クーニングのような見事に計算しつくされた抽象表現として見えてくるのです。
ほぼ単色で構成されるキャンバス作品「Still Life」シリーズも、キャンバスが変形したりシワが寄ることで、立体作品と平面作品の狭間を彷徨います。このようにオオシロの作品は、二つの反する要素の間を揺れ動き、観る者を惑わせます。しかし、これら作品は私たちに芸術作品の存在や定義を見直すきっかけを与えてくれるのです。
主な個展は、「Republic」MAKI Gallery(東京、2020年)、「96375」Nonaka-Hill(ロサンゼルス、2020年)、「Steel Unforged」galerie frank elbaz(パリ、2017年)、「A STANDARD」Honor Fraser Gallery(ロサンゼルス、2017年)など。2014年にはロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA、ロサンゼルス)での個展「Chasing Ghosts」も開催されました。また、The FLAG Art Foundation(ニューヨーク、2015年)、Walker Art Center(ミネアポリス、2012年)そして Hammer Museum(ロサンゼルス、2005年)などでグループ展に参加。日本でも、2022年には国際芸術祭「あいち2022」に出展、2014年にはBunkamuraザ・ミュージアム(東京)、兵庫県立美術館(兵庫)そして名古屋市美術館(愛知)で巡回したグループ展に参加しています。彼の作品は、国立現代美術基金(パリ)、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA、ロサンゼルス)、Rubell Museum(マイアミ)、Zabludowicz Collection(ロンドン)など、数多くの著名な公共および民間のコレクションに収蔵されています。