Keiko Masumoto

Artist
Japanese, b. 1982

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BIO

「器であって器でないもの」

私の制作テーマは、「用途のない、飾られる為だけに作られた器」です。床の間や玄関に飾られた大きな皿や壷。食べ物を盛りつけられる事も、花を生ける事も無く鎮座する器たち。用途のある形であるはずの器型をしておきながら、実際には使用されずに飾られるだけという存在が、一般の人々に自然に受け入れられています。
装飾されるだけならばどんな形でも良いはずですが、あくまで器型をしているのはなぜか。フレームが絵画であるためのひとつの装置になり得るように、器形は工芸であるための装置といえるからではないでしょうか。

私の制作に一つのヒントをくれたのは、江戸初期の釜師、大西浄清の作った「鶴釜」でした。大きな鶴が、釜に覆いかぶさるように造形されていて、翼の先はより立体的に釜からたちあがっています。この作品を見た時、もうこれはほとんど鶴だと思いました。装飾というのはあくまで主体である器の付属物ですが、この作品はその関係性を壊しているように見えました。ここで、装飾物の鶴は、過激な色遣いやリアリティで存在を主張するのではなく、鉄で作られたひとつの造形として自然に存在していました。自然に、激しく主張していました。この作品の鶴を更に激しく主張させたらどうなるか、面白くなるに違いないと思ったのです。

そこから私は、器とも彫刻ともつかない謎のものを仕立てあげ、「美術、工芸」「器、装飾」といった枠組みを壊すようなダイナミックな形をめざした作品作りを始めました。モチーフと器とが、どちらが主とも従ともつかないようなサイズ感で融合した形から始まり、モチーフを器のラインでカットし、両者を危ういバランスで共存させたもの、最近では器の形や紋様の形にモチーフを押し込め、紋様の定義を探る「圧縮紋シリーズ」を制作しています。

 美術や工芸の愛好家だけでなく、より多くの人々に親しみを持って見てもらえる陶磁器という素材で、ユーモアを大切にしながら新しいかたちを生み出していきたいと思っています。

略歴
1982年 兵庫県生まれ
2005年 京都市芸術学美術学部工芸攻卒
2007年 京都市芸術学学院修課修了
2010年 ゲストアーティスト(米フィラデルフィア芸術大学)
2013年 レジデンスプグラムアーティスト(英ヴィクトリア&アルバート博物館)
現在、滋賀県信楽にて制作活動


2007年 都市立芸術大学作品展大学院市長賞
2008年 東京ミッドタウンアワード アートコンペ 準グランプリ
2009年  トーキョーワンダーウォール 立体・インスタレーション部門大賞
2013年 兵庫芸術奨励賞
2018年 秀明文化基金賞

主な個展
2010年 陶のパノラマ(INAXガレリアセラミカ / 銀座)
      個展(Gallery Jin Projects / 東京、同2012)
2011年 第22回美術の中のかたち手で見る造形 桝本佳子展「やきもの変化」(兵庫県立美術館)
2012年 motif/vessel(ICN gallery / ロンドン)
2014年 個展(たつの市立龍野歴史文化資料館/兵庫)
2017年 Masumoto EXPO(アートフェア東京 村越画廊)
2021年 Blue Birds / Blue Ceramics (ワコールスタディホール京都 ギャラリー)
2022年 春 夏 秋 冬(千總ギャラリー / 京都)
     OVERGROWN (CANDYBAR Gallery / 京都)

主なグループ展
2009年 装飾の力(東京国立近代美術館工芸館)
2011年 新・宣言(豊田市美術館)
2012年 パラミタ陶芸大賞展
2018年 ひょうごのやきもの150年(兵庫陶芸美術館)
2019年 あいちトリエンナーレ2019(名古屋市美術館)
2021年 八戸市美術館開館記念 ギフト、ギフト、(八戸市美術館)

パブリックコレクション
滋賀県立陶芸の森
豊田市美術館
Victoria & Albert Museum
兵庫陶芸美術館
MIHOミュージアム

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