泣いた雫をいかせ

Feb 7 — 28, 2026

Presented by Blackbird Galley 近日開催
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本展では、「見る」という行為の根底にある、人間の本能的/認知的な欲望。すなわち“意味を求め、かたちを見出そうとする心の働き”に焦点を当てます。こういった心理現象をPareidolia(パレイドリア)と呼ぶ。この心理現象は幼児の頃から発現しており、以前携わっていた幼児教育機関ではこの心理を利用した「見立て」の授業というのも行っていた。(デカルコマニーや幾何学模様の組み合わせによる創造)

私の作品は、はじめから一義的なモチーフや記号を提示するものではなく、むしろ色彩や線、面のあわいに“余白”を残します。そこに鑑賞者が視線を落とすとき、その余白、曖昧なかたち、曖昧な空気に、自らの記憶や感情、夢想が投影され、「具体表彰」が立ち現れます。

この具体表彰には、かつて私自身が見た風景、憧れの地、あるいはこれまで見えなかった、思い出せなかった何かかもしれない。あるいは、全くの未知の空間、たとえば記憶とイメージと偶然の重なりから生まれる虚構のヴィジョンかもしれない。

あくまで作者が「絵画的に良し」かどうかという基準で置かれた形や線を具象性を見出すための鍵としてapophenia*を体験する。

しかし確かなのは、一義的な意味やモチーフに縛られず、鑑賞者の感性や記憶が能動的に介入することで、ひとつとして同じではない“私とあなた/あなたと作品”だけの情景が、各々に生成されるということ。対立構造である絵画を装置として扱った相互作用的な共犯関係であり、秘密の共有のようなものだと思う。

私はそのとき、「あなたのなかに眠るイメージ」をひそやかに呼び覚まし、あなた自身の記憶と想像が、私の絵と重なる瞬間を信じたい。

そしてそれを脳が捕獲した時、それはそれでしかなくなり、想像の旅を終える。

今回、名古屋での展示はほぼ初めてとなるため、本展では新作を交え、近年の制作の中から作家性が見えやすい作品を選び、回顧的な視点を含めて構成しました。

ARTISTS

  • 奥天 昌樹

VENUE