イチハラヒロコ 個展 「幸せは目の前。」
Feb 12 — Mar 1, 2026
SAIでは、2026年2月12日から3月1日まで、現代美術家・イチハラヒロコによる展覧会「幸せは目の前。」を開催します。イチハラは、言葉を素材に、日常に潜む感情やユーモアをポップにすくいあげる表現で知られています。
イチハラはこれまで、日常的な言葉を文脈から切り離し、空間に「イメージ(もの)」として展示することで、「言葉」そのものに焦点を当てた作品を発表し続けてきました。作品に現れるのは、詩的・抽象的な言葉ではなく、日常感覚に根ざした短い日本語のフレーズです。それらが壁一面に並ぶ光景は、SNSのタイムラインが空間に溶け込んだかのような軽やかさをまとっています。
簡潔なフレーズと均整の取れた文字組みや配置。印刷や複製の感覚を伴うシルクスクリーンの均質な質感は、広告の視覚言語を想起させます。日本語特有の曖昧さや空気感、婉曲表現を内包した言葉は、わかりやすい形へと還元され、SNSのポストのようにSAIの空間を流れていきます。そこには、無数に現れては消えていく言葉の氾濫と、情報に反射的に反応する現代の感情のあり方が浮かび上がります。
テキストと文体の軽やかさを反復し、文脈から切り離された言葉が視覚的快楽として立ち上がるこのスタイルは、コンセプチャルアートの旗手として言語を主要なメディアとして作品を発表してきたローレンス・ウィナーの手法とも重なります。同時に、日常に流通する記号をそのまま作品化するイチハラヒロコならではの感覚は、より広い文脈へと開かれているように思います。イチハラの作品で埋め尽くされたSAIの空間は、Xをスクロールしているかのような感覚を呼び起こし、広告や情報であふれる渋谷の風景を想起させます。誰もが公共に向けて言葉を発信できるようになった現在において、言葉は「伝えるもの」から「消費されるもの」へと変質しました。それでも感情を帯びた言葉はなお私たちを翻弄し、乾いた都市空間のなかで内的風景を映し出します。
本展では、1990年代より継続的に制作されてきたキャンバスにシルクスクリーンを施した作品群の中から約50点を展示するほか、イチハラヒロコの「恋みくじ」も設置します。絵画のように配置された言葉が漂流する空間のなかで、フィードに流れてきたお気に入りを保存するような感覚との出会いを、ぜひSAIでご体験ください。
協力:鎌倉画廊
ARTISTS
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イチハラヒロコ
VENUE
- URL
- https://www.saiart.jp/
- 住所
- 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
- Tel
- 03-6712-5706
- 開館時間
- 11:00 — 20:00
- 入館料
- 無料
NOTES
イチハラヒロコ 個展
「幸せは目の前。」
会期 : 2026年2月12日(木)- 3月 1日(日)
OPENING RECEPTION : 2026年2月12日(木) 18:00-20:00
会場 : SAI(サイ)
協力:鎌倉画廊