大西晃生「私墟」
Mar 15 — Apr 8, 2025
廃墟を見た時の無常さは、自分自身の人生もまた同様に無常なものであることを感じさせる。あらゆるものは生まれたらいつか死ぬ。その中でどのような跡を残していくかが大事になってくる。たとえば自分が一枚のキャンバスなら、その上にどのような線や色を重ねてきたかということが今まで生きてきた証なのだと思う。
最近数年ぶりに実家に帰った。母に用意しておいてほしいと伝えていた昔の写真や映像をみた。2000年代初期、自分が園児や小学生だった頃。母は、この頃は幸せな時期だったよ、と言っていた。覚えているものもあれば、全然思い出せないものもあった。映像の中の自分は歌を歌ったり、遊具で遊んだりしていた。あれから20数年が経ち、平成は終わり時代は令和になった。
テクノロジーや社会情勢、自然環境、価値観...さまざまなものが変化していく。何かが生まれ、そしてそれはいつか終わりを迎える。急激に社会が変化する今、いたるところで均衡が崩れ、衰退、崩壊し、ひとつの時代が過去になろうとしている現状を目の当たりにしている。
私墟 ー 私の廃墟。自分にとっての過去の記憶、それらは自分の中だけに存在する廃墟なのかもしれない。時が止まり色褪せていく子供の頃の記憶は、一つの絵になっていたパズルが崩れていくように少しづつ曖昧なものになっていく。
ふとした瞬間に過去を思い出す。しかし私たちは過去には戻れない。そして未来のことも分からない。未来が現在の積み重ねで、そしてこの人生がいつか終わるなら、一日一日を大事にして、出来るだけ後悔のない生き方をしていく、それ以外ないのかもしれない。
進まないといけない、未来はこれからも続いていくから。
2025年3月 大西晃生
ARTISTS
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大西晃生
VENUE
- URL
- https://www.kto-gallery.com/
- 住所
- 〒160-0005 東京都渋谷区神宮前4丁目25番7号 コーポ K 103
- 開館時間
- 13:00 — 18:00
- 休館日
- Wed・Thu・Fri
- 入館料
- 無料
NOTES
※03.18.火は16:00 ~ 21:00に変更。