HOSOO GALLERY 吉田真一郎「意識の白」展開催。約半世紀にわたる自然布の探究から、みること、そして意識そのものへ

Nov 6, 2026 — Exhibition: SoloUpdated Nov 6, 2026
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HOSOO GALLERY では、2026 年 11 月 6 日(金)より、美術家であり、麻布の蒐集家・研究家として知られる吉田真一郎による展覧会「意識の白」を開催いたします。 私たちは、何をみているのか。 約半世紀にわたり日本の自然布を蒐集・研究してきた吉田真一郎は、繊維や糸のわずかな違いを考察し続けてきました。 2021 年、HOSOO GALLERY で開催した吉田真一郎「白の気配」展では、吉田が約半世紀の歳月を経て完成させた作品《白》を公開しました。大麻繊維による白布を並置したこの作品は、同じ平織で織られた布のあいだに立ち現れる、捉えがたい気配を浮かび上がらせるものでした。 本展では、吉田の麻布コレクションを語るうえで欠かせないもう一つの繊維である苧麻(ちょま)を加え、新たな作品《白》を公開しています。古くから日本で用いられてきた大麻と苧麻の白布を並置することで、かつて日本人がみていたであろう白の気配を浮かび上がらせ、物をみることとは何かをあらためて問いかけます。 さらに、吉田が蒐集してきた千点以上に及ぶ資料から、要素を極限まで削ぎ落とし、再構成した新作インスタレーション《意識の白》を発表します。 布から糸へ。そして、物質をみることから、みることの深層へ。 《意識の白》は、《白》が持つ布の物質性を超え、「意識」という問題へと問いを深める作品です。本作は、大麻繊維による糸が手で幾重にも巻かれたヘソ巻と、そこから引き出された糸によって構成されています。 あわせて、吉田が長年蒐集してきた資料を会期中に入れ替えながら紹介する「実験の間」を設け、作品に至るまでの試行錯誤の過程を公開します。織物の可能性を探求してきた HOSOO GALLERY にとって、本展は、布を構成する繊維や糸、そしてそれらをみる私たち自身の意識へと視野を広げる試みでもあります。 吉田真一郎が約半世紀にわたり麻布を蒐集し、観察し続けるなかで到達した「白」の世界。その表現を通して、みることの深層にある意識へと触れていただく機会となれば幸いです。 展示作品 ①《白》 2026 年 素材:大麻布、苧麻布 布の年代:江戸末期 – 明治(1850–1900 年頃) 本作は、江戸時代から明治時代にかけての、大麻と苧麻の着物を解いた白布によって構成されています。大麻と苧麻は、日本で古くから利用されてきた植物繊維です。縄文時代の遺跡から出土した編布などからも、その長い歴史をうかがい知ることができます。江戸時代に木綿が普及するまで、大麻布と苧麻布は、庶民から上流階級に至るまで広く衣服に用いられてきました。いずれの布も、水に浸し、天日に晒すことを繰り返すことで白くなります。2021 年に発表した《白》が大麻布のみで構成されていたのに対し、本作では新たに苧麻布を加えています。 吉田は、それらの白布を並置することで、個々の布が持つ微細な違いと、布と布のあいだに立ち現れる気配を浮かび上がらせています。

②《意識の白》 2026 年 素材:ヘソ巻(大麻繊維) 素材の年代:明治末期 – 昭和初期(1900–1945 年頃) 本作は、明治末期から昭和初期にかけて、岩手県、山形県、新潟県周辺でつくられた複数のヘソ巻と、そこから引き出された糸によって構成されています。ヘソ巻とは、績んだ麻糸を、撚りをかける前の状態で、手で幾重にも巻きつけた糸巻束です。「績(う)む」とは、麻の繊維を細く裂き、その端と端を撚りつないで一本の長い糸にする作業を指します。麻を績む技術は日本で古くから受け継がれてきたものであり、『古事記』などの古典にも糸づくりに関わる記述がみられます。一本の糸には、繊維を績んだ人の手加減が残されています。績み加減のわずかな違い、長い年月巻かれたまま保管されてきた糸に生じる独特の揺らぎ。それらは逆光に照らされることで、かすかな陰影となって現れます。吉田は、こうした糸のありようを極限まで簡潔な構成によって提示しています。 《白》が、織り上げられた布に立ち現れる気配をみつめる作品であるのに対し、《意識の白》では、布になる以前の糸のみによって構成することにより、みることの深層にある意識へと問いを投げかけます。

③実験の間 「実験の間」では、吉田真一郎が約半世紀にわたり蒐集してきた資料を、会期中に入れ替えながら展示しています。ここでは、完成した作品だけでなく、吉田が長年にわたり自然布と向き合い、観察し、思考を重ねてきた過程を紹介します。オープン時には、大麻布の仕事着「オクソザックリ」を公開しています。オクソ(苧屑)とは、大麻の苧から粗皮を削り取る際に生じる繊維質の屑を指します。明治時代まで、福井県、石川県、岐阜県周辺では、これを緯糸に用いて織った布が、日常の仕事着として使われていました。わずかな繊維も無駄にしない、かつての暮らしの知恵を伝える布です。糸そのものから構成される《意識の白》に対し、オクソザックリは、糸づくりの過程で取り除かれた繊維から生まれた布です。 「実験の間」は、資料を単に歴史的なものとして紹介するのではなく、吉田の作品を生み出してきた探究の過程に触れる空間です。

※会場では、展示作品に関する資料の詳しい解説を、ハンドアウト掲載の QR コードからウェブ上でご覧いただけます。 <展覧会概要> 吉田真一郎展「意識の白」展 会期:2026 年 11 月 6 日(金)–2027 年 3 月 20 日(土)※祝日・年末年始(12 月 29 日–1 月 3 日)を除く 時間:10:30–18:00 入場は閉館の 15 分前まで 会場:HOSOO GALLERY (京都市中京区柿本町 412 HOSOO FLAGSHIP STORE 2F) 入場料: 無料 電話:07/ 221 8888 URL: www.hosoogallery.jp/ 主催:株式会社 HOSOO 補助:日本博 キュレーター:井高久美子 リサーチ:原瑠璃彦 空間構成:周防貴之 宣伝美術:森田明宏 ディレクター:細尾真孝 <関連プログラム> ガイドツアー 2026 年 11 月 –2027 年 3 月 会期中、不定期開催 予約制/各回 10–15 名 吉田真一郎が所有する約 1,200 点に及ぶ麻布資料のなかから、大麻・苧麻を中心とした五大麻布を紹介するとともに、芭蕉布、葛布、科布、藤布、オヒョウ、紙布、太布など、日本各地に伝わる自然布への理解を深める特別なプログラムです。 素材や技法の違い、それぞれの布が育まれてきた歴史的背景を知ることで、展示作品をより深く鑑賞していただけます。 開催日時および予約方法などの詳細は、決定次第、HOSOO GALLERY 公式ウェブサイトおよび公式 Instagram にてお知らせします。 HP: www.hosoogallery.jp | IG: hosoogallery

<吉田真一郎(よしだ•しんいちろう)> 1948 年、京都府生まれ。近世麻布研究所所長。20 代から絵画制作を始める。1977 年に西ドイツへ渡り、現代美術家のヨーゼフ・ボイスに出会う。帰国後、ボイスの影響から古美術や民俗学を独学で勉強し始める。江戸時代の苧麻布、大麻布の繊維と糸の研究を発表してきた。主な博物館展示に、奈良県立民俗博物館「奈良晒」展、滋賀県愛荘町立歴史文化博物館、東近江市立能登川博物館「高宮布」展、十日町市博物館「四大麻布」展などがある。2012 年、国立民族学博物館の共同研究「布と人間の人類学的研究」にて研究発表。共著に『別冊太陽 日本の自然布』(平凡社、 2004)がある。2018 年には、麻布の蒐集と研究が評価され、第六回水木十五堂賞を受賞。

< HOSOO > HOSOO は元禄元年 (1688 年 )、京都西陣において大寺院御用達の織屋として創業した。京都の先染め織物である西陣織は 1200 年前より貴族をはじめ、武士階級、さらには裕福な町人達の圧倒的な支持を受けて育まれてきた。 HOSOO は今、帯やきものといった伝統的な西陣織の技術を継承しながら、革新的な技術とタイムレスなデザイン感性を加えることによって、唯一無二のテキスタイルを生み出し、国内外のラグジュアリーマーケットに向けて展開している。 www.hosoo.co.jp | IG: hosoo_official