Up & Coming 第20回展覧会 「409 Conflict」
Aug 21 — Sep 27, 2026
Up & Coming
第20回展覧会
「409 Conflict」
伊澤真利奈 長嶋由季 田中良太 鈴木星亜 北村拓之 池上太郎
会期:2026年8月21日(金)~9月27日(日)
開場時間:12:00~19:00(金・土は20:00 まで)
休場日:火曜日
会場:Up & Coming(東京都渋谷区神宮前3-42-18)
アクセス:東京メトロ銀座線「外苑前駅」3番出口より徒歩4分
URL: https://upandcoming.tamabi.ac.jp/exhibitions/n020
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「409 Conflict」
409 Conflictとはクライアントのリクエストがサーバーの現在の状態と矛盾、競合している時に起きるHTTPステータスコード。
複数のリクエストが同時に同じリソースに対して行われた、またはデータの同時更新が行われた時に起こるエラーメッセージ。
何かを描く時、頭に浮かび上がる像を想起しながら、手には絵筆や絵具といった物質を持ち、腕の運動や手首にかける圧力等によって画面に撫で付けたり塗布を繰り返し、やがて図像=イメージが表面に立ち上がる。ここで言う想起した像は、風景であれば木々、人物であればその佇まいや表情など単体として成り立つような具体物に限らず、それらを形成するプロセス、つまりはひとつひとつの痕跡・筆跡を指す。絵筆を持った腕を動かし上から下に画面を撫でればそれは「線」になる、くらいの些細なものも含む。しかし、度々、いや常々、それは「想起した通り」にいかないように思う。私という自己が、または運動をつかさどる脳のどこかが、図像になる前の繰り返される行為を操作しながら次の判断へ繋いでいく。これらの過程はその時々の適切さを求めてはいるが、本当のところ期待も裏切りもほとんど等価としているかもしれない。成功や失敗といった二手の分岐がひとつひとつの結果ではなく、自分は何をどういうつもりで選択していたのかを知ることや意識する働きかけが大切だと思っている。事後的な結果を原因に響かせることで自分の行いは受け入れる成果のひとつになるのだろう。
ここまでは頭ではわかっている。そうは思いつつもやはり、何かを選択している時の心理は期待・正確さに偏っている。例えば自分は自分の作品において、ことさら新しさなんて微塵も期待していない。それよりも良い絵が描きたい。
諸々かいつまんでみると、雑念も大いにあって分析も追いつかず、絵画(自己表現)への期待感が欲となり、さらには複合した想いを背負った自己そのものが “ひとつひとつを同時に要求した一手”としてまかなう。改めて、絵を描く側として自然なことと思っている。それは描き手の自覚以上に目の前の画面が流動的に変化している状態に感じられる。
まるでノミが不規則にジャンプしている状況をこちら側は動体視力では予測しきれない動きに見えることに似ていて、広い視野で軌道を追いながら一瞬の隙を狙うような対峙関係に近い。ノミの動きもこちらの動きも両方とも絵を描く自分自身(事後的な自己と現在の自己)と仮定してみる。平たく言うと試行錯誤などに置き換えても良いのだが、おそらくエラー「409 Conflict」を常に起こしている状態で、それを引き受けている、そういった態度なのかなと思っている。
首尾一貫とならない現実に生きる難しささえ感じて、絵画はそれに対して受容する力があるように思えてしまうから、誤作動を繰り返しても間違いの起こらない安心を拠り所にしていると思う。自分が書くこういう訳のわからないテキストだってそれの一環だ。でもわかってほしい。これはきれいごとや現実逃避の話ではなく、現実に起こっている話であること。そして間違いを起こさないように注意しながらも正誤に捉われない誤作動という矛盾にわずかでも幸福を感じている者たちの話なのだ。
田中良太
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【関連イベント】
●トークショー
ゲスト:大島徹也
日時:2026年8月22日(土) 17:00~18:30
内容:展覧会「409 Conflict」に関連し、抽象表現主義における偶発性、身体性、エラー、自由、制作における意思決定などについて、出品作家とともに行うトークイベント
ゲストプロフィール: 大島徹也(多摩美術大学芸術学科教授、多摩美術大学美術館館長)
1973年愛知県生まれ。愛知県美術館主任学芸員、広島大学大学院准教授を経て現職。専門分野は西洋近現代美術史。 主な著書に『抽象表現主義』(2025年、水声社)、主な展覧会企画に「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」(2011-12年、愛知県美術館・東京国立近代美術館)。
●オープニングレセプション
日時:2026年8月22日(土)19:00~20:00
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【プロフィール】
●池上太郎 IKEGAMI Taro
略歴
1988年 東京都生まれ
2013年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科ガラス専攻卒業
2015年 武蔵野美術大学大学院修士課程デザイン専攻工芸工業デザインコース修了
個展
2025年 「Still transparent」iinonaho glass gallery/東京
2024年 「Remain in light」Rohan/静岡
2020年 「池上太郎 個展」山画廊/三重
グループ展
2023年 「モツレテホドケル」OIL by 美術手帖ギャラリー/東京
2023年 「BOUNDLESS」介末 Art and Craft Gallery/中国
ステイトメント
都市に生きる中で、不意に視界へ入り込む光や気配、身体をかすめていく感覚を起点に、物質と記憶の関係を探る制作を行っています。ガラス、写真、サイアノタイプなど複数の媒体を横断しながら、反射、透過、遮蔽によって視線や焦点が揺らぐ現象を通して、事物と身体とのあいだに生まれる曖昧な距離や感覚を扱うことに関心があります。
近年は、それらを空間の中に配置することで、失われながらも残り続ける記憶や気配が再び立ち現れることを試みています。
Website
HP: https://www.taroikegami.com/
SNS: https://www.instagram.com/taroikegamis/
●伊澤真利奈 ISAWA Marina
略歴
東京都生まれ
2012年 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻卒業
個展
2019年 「愛の燃え殻」 TURNER GALLERY/東京
2013年 「かためをつむっててをのばす」SPAZIO RITA/愛知
グループ展
2025年 「Error」工房親/東京
2024年 「ピイプル01 波をみる」長亭GALLERY/東京
2023年 「PARALLEL e.g.3」HANSOTO/静岡
ディレクション
2026年 「うごいていき、ふりかえる A Flea Market of "0"」MASUMI SASAKI GALLERY/東京
2025年 「ミットライト_そして」 TURNER GALLERY/東京
受賞歴
2022年 アートオリンピア 2022 佳作表彰
美術協力
2025年 Netflix ドラマ『グラスハート』美術協力(クレジット掲載)
2025年 テレビ東京ドラマ『シナントロープ』美術協力(クレジット掲載)
ステイトメント
私は、日常の中でふと目に入ったものや、身体に残った感覚を手がかりに描き始める。道に落ちているもの、使い終わった素材、見過ごされてしまうようなかたち――特別な対象を描いているというより、なぜか目が止まり、身体のどこかに引っかかった痕跡をたどっている。
私にとって線は、輪郭をなぞるためだけのものではない。線は、身体の動き、対象への反応、記憶や感情の速度を画面に残す最初の介入だ。そして線の中に生まれるズレや歪みは、私だけがつくるものでもない――絵画の側から返ってくる応答として、そこに現れる。
描くことは、私が画面に何かを与え、同時に画面から何かを受け取る往復運動に近い。手や身体が先に動き、そのあとから、自分が何を見ていたのか、何に反応していたのかが少しずつ分かってくる。油絵具の流動性と偶然性、テンペラの乾いた質感と描写性を行き来しながら、現象として立ち上がるものと、意志によって選び取るもののあいだで画面を構築している。秩序をかすめながら少し外れていく色や整いきらない配置、調和の中にあるわずかな不均衡――その逸脱の中で、像は別の相貌を帯びはじめる。
描くうちにモチーフは元の姿から離れ、線はかたちを思い出したり忘れたりしながら、別の像へとずれていく。やりとりを重ねるうちに、絵は私の意図だけでは触れられない場所に立ち上がっていく。私は、その瞬間に起こる小さな奇跡のようなものを信じている。
Website
HP: marinaisawa.com
SNS: https://www.instagram.com/marinaisawa_paint/
●北村拓之 KITAMURA Hiroyuki
略歴
1989年 奈良県生まれ
2013年 多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業
個展
2023年 「うつろの目」府中市美術館市民ギャラリー/東京
2015年 「TWS-Emergency 2015「Desire/Fixation」」トーキョーワンダーサイト渋谷/東京
グループ展
2019年 「S.O.S. SOMETHINKS2019「立ちかた」」/アートラボはしもと、神奈川
受賞歴
2014年 「トーキョーワンダーウォール公募2014」 入選
2014年 ワンダーシード2014 入選
ステイトメント
料理が好きで、よく昼ごはんにパスタを作ります。ペペロンチーノ(ニンニクと唐辛子のパスタ。カレー、餃子と並んで料理をかじった男性がやたらこだわる。)を作る工程で、刻んだニンニクと唐辛子をオリーブオイルで炒めるというのがあります。それは材料の香りを油に移して風味豊かに仕上げるという目的と言われます、確かに丁寧にやると美味しくなる気がします。
自分は木炭を主に使って、筆を使わずに手で描画材を支持体にこすりつけて絵を描きます。素手でキャンバスや紙をこすっていると、ニンニクを炒めているときのように自分が支持体に移っていくような感覚があり、続けていると自分がニンニクなのかオイルなのか曖昧になっていきます。ニンニク=画家という定義はないのでどっちがどっちなのかはわかりません。
明確に自分であったものが制作をしていく中でドロドロになっていく。そのプロセスが絵を描くことのような気がしています。それは自分と外界であったり、白と黒であったり、空と土、火と水、愛と憎、親と子、生と死。絵の中では、パスタの仕上げに油と湯を混ぜて乳化させるように混然となって恍惚としている。
Website
SNS: https://www.instagram.com/kitamura_hiroyuki
●鈴木星亜 SUZUKI Seia
略歴
1986年 東京都生まれ
2010年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2012年 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻油画研究領域修了
個展
2025年 「SCALE」Maki Fine Arts/東京
2021年 「All You Need is Surface」Maki Fine Arts/東京
グループ展
2024年 「アートスロープ」西武渋谷店/東京
2024年 「2024 三越アートセレクション」日本橋三越本店/東京
2023年 鈴木星亜 x 山田康平 「Overlay」西武池袋本店/東京
受賞歴
2012年 「VOCA展2012」 VOCA賞受賞
収蔵
スイス・リー
第一生命保険株式会社
ステイトメント
私は実際の風景を、文章を主としたメモで書き留め、一定期間を置いた後に、それを基にして絵画を制作しています。このプロセスを経ることで、私は写真的な遠近法的な空間の捉え方から自由になり、またその場で風景を見て描いた時にも生じている、記憶のズレや、私が見ているもの、見ていないもの、私の身体や今までの経験の影響がより鮮明になってくるのです。
近年は、なんとなく扱っていたスケールを問い直すために、自分の主観の中で出来る限り小さく描くことを試みたり、自分の物質に対する感性をより強く押し出すことを試みています。
Website
HP: https://suzuki-seia.com/index.html
SNS: https://www.instagram.com/seiasuzuki/
●田中良太 TANAKA Ryota
略歴
1983年 埼玉県生まれ
2008年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2011年 アートコレクティブ・オルタナティヴスペース「ゲルオルタナ」運営開始
個展
2025年 「OUT OF THE BULE」STUDIO BACK PACK/埼玉
2021年 「素粒子」長亭GALLERY/東京
グループ展
2025年 「Idemitsu Art Award アーティストセレクション 2025」国立新美術館/東京
2025年 「八王子芸術祭 2025」八王子市小門町・小門公園(ゲルオルタナとして参加)/東京
2025年 「マジカル・ミステリー・府中」LOOP HOLE/東京
受賞歴
2018年 シェル美術賞 2018 島敦彦審査員賞 受賞
ステイトメント
地続きの空間で人は生きています。私はあらゆる観測を怠りたくはありません。齟齬を恐れても仕方がなくて、不一致があることを理解していける世界を望みます。経験の集合体が任意の空間に広がると、不定称の風景画として図像が現れます。その風景画は私を含む全てが紐づいた“状態”そのものです。これは量子論でいう一元論的立場です。風景=対象物に影響を与えない様に注意深く観測することとは異なり、私(観測者)を対象物へ内包したこと自体が観測の対象と考えます。私は不定称のそこに大きく関与している必要があるのです。また、①直方体や森林の陰影を描いて形骸化されたパースペクティブや地平線の基盤にそれらを配置しながら、色彩によるコントラストは遠近の対比をひたすら無効としつつもそれが風景(のように)見えるならば、②波打つ線(のような面)が重なる順に遠景から近景へ向かわせる絵具の層のみのそれも風景画のひとつであると考えます。これらは①風景画のような抽象画と②抽象画のような風景画と呼ぶようにしています。様態がどんなふうでも客体がどうなっても、画面に絵具を塗布し、質量を与えながら、イリュージョンを信じながら、楽しみながら、苦しみながら、目の前に表すのみです。そして、キャンバスにはいつも余白を残します。図像の終わりをキャンバス内に明示するのです。キャンバス地から側面を通って壁面、そしてあなたが立っている地面は精神的には繋がっていません。しかし繋がりを(絵画から)物理的に辿れたら同じ空間にはいるので私たちは常に一緒に存在しています。「ここ」を示したまま、その中と外とでは無限や有限がともに重なり合っています。
どこかにいつも私は在ります。
Website
HP: http://www.ryotatanaka.com/
SNS: https://www.instagram.com/ryotatanaka1983/
●長嶋由季 NAGASHIMA Yuki
略歴
1989年 東京都生まれ
2012年 多摩美術大学美術学部絵画学科版画専攻卒業
2014年 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻版画研究領域修了
個展
2025年 「太陽が眠るとき、月は踊りだす」AKIINOUE/東京
アーティスト・イン・レジデンス
2023年~2024年 Zea Mays Printmaking (アメリカ合衆国) /令和4年度 ポーラ美術振興財団
在外研修員
2018年~2019年 Ratamo Printmaking and Photography Centre (フィンランド) /平成29年度 新進芸術家海外研修制度一年研修員
受賞歴
2025年 第23回南島原市セミナリヨ現代版画展 南島原市長賞
2024年 HB FILE COMPETITION Vol.35 服部一成賞
2011年 第5回 山本鼎版画大賞展 優秀賞
2010年 あおもり国際版画トリエンナーレ2010 みちのく銀行賞
ステイトメント
私は、複雑に揺れ動く世界を多角的に眺め、詩的に要約し、視覚化することをテーマとして作品制作を続けています。世界の断片を切り抜き、新たな形と意味を与え、私なりの世界への解釈を版画作品として提示しています。
私たちが生きるこの地球では、様々な環境のもとで生命活動が同時多発的に発生しています。細胞が増え、物質を合成し、エネルギーを得るという生命の基本的な活動、そしてそれらが発展して起こる世界の中で私たちは日々生きています。私は、私が今この瞬間を生きていることや、私が生きるこの世界が自分の手の届かない奇跡の連続で存在しているという現実を俯瞰しながら、森羅万象を観察し、世界を解釈するために絵を描いています。
制作技法は、17世紀にイタリアで初めて用いられたとされるエディションのないモノタイプ版画のテクニックを用いています。プレス機を幾度も通しながら加筆することで、紙の上に絵の具を積層させていく方法で制作しています。版画制作では版を介入させるため、間接的に画面にアプローチします。さらに、イメージは反転します。絵の具をプレス機の圧力によって潰すように紙に刷り込んでいく過程では、操作することの出来ない現象が起こります。偶発的な要素を受け入れ、それに答えながら、新しい現代の版画表現を探究しています。
Website
所属ギャラリー/HP: https://akiinoue.com/ja/artists/yuki-nagashima/
所属ギャラリー/YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=_gHflZgCFTw
個人/SNS: https://www.instagram.com/yukinagashima/
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フライヤーデザイン:Junta Komura
ARTISTS
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伊澤真利奈 長嶋由季 田中良太 鈴木星亜 北村拓之 池上太郎
VENUE
- URL
- https://upandcoming.tamabi.ac.jp/
- 住所
- 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-42-18
- Tel
- 03-6692-0425
- 開館時間
- 12:00 — 19:00
- 休館日
- Tue
- 入館料
- 無料
- 備考
- 金・土は20:00 まで開場